母乳育児Q&A

【助産師監修】授乳中にイライラしてしまうのはなぜ?イライラの原因や対処法について

2019.02.13

Yoneco Oda

Mama writer

2010年生まれと2016年生まれの姉妹を育児中のママです。おっとりマイペースな姉と、好奇心旺盛でパワフルな妹。姉妹でも性格の違う二人の様子に、子育ての新鮮さや面白さを感じている今日この頃です。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

授乳タイムはママと赤ちゃんにとって幸せなひと時。でも、なぜか授乳中にイライラしてしまうことはありませんか?

赤ちゃんはかわいいけれど、授乳は早く終わらせたい・・・と思ってしまうママもいるのではないでしょうか?どうして授乳中にイライラしてしまうのでしょうか?

今回は、授乳中のイライラの原因と対処法をご紹介します。

幸せなはずなのに・・・授乳中にイライラ

一般的な母乳による授乳のイメージは、「ママは赤ちゃんに対する愛情がいっそう増し、赤ちゃんは大好きなママに抱っこされ安心感を得られる母子ともに至福の時間」というものではないでしょうか。

しかし、実際のところ、この母乳による授乳を苦痛に感じているママも多いようです。昼夜問わず1日に複数回、毎日続けなくてはならないので、授乳はママにとって大仕事です。

時間がかかる、体がだるくなり痛みを生じる、時にはザワザワ、ゾクゾクする感覚におちいることもあるなど、授乳中は様々なトラブルに見舞われます。

このような身体的・精神的なストレスが授乳中のイライラにつながり授乳を苦痛にしてしまう要因になっています。

どうして?授乳中のイライラの原因


では、どのようなストレスが原因で授乳中にイライラしてしまうのでしょうか?

不快性射乳反射のため

授乳中のイライラの中でも、母乳を飲ませようとする時に不安感、気分の落ち込み、眠気、ザワザワ・ゾクゾクとした不快感を感じる場合は、不快性射乳反射かもしれません。

不快性射乳反射(D-MER)とは、射乳反射直前のドーパミンの急激な分泌量低下によってもたらされる症状のことです。

授乳をすると、赤ちゃんが乳首を吸う刺激が脳に伝わってプロラクチンという母乳を出す作用のあるホルモンが分泌されます。

プロラクチンの働きにより、心地よいなどのポジティブな感情に関係している脳内伝達物質のドーパミンの分泌量が低下してしまいます。

そのため、ママは赤ちゃんの授乳に不快感を覚えてしまうといわれています。

この症状は授乳中の短時間の間にだけ起こり、授乳が終わると嘘のように消えてしまいます。

症状の多くは産後3ヶ月頃には治るといわれていますが、中には授乳中ずっと続いていたというママもいます。

症状が続く場合、我慢しないで断乳する事で解決する人もいます。無理せず医療機関や助産師さんに相談しましょう。

不快性射乳反射については近年になって研究が進められるようになったきたので、詳しいことはまだはっきりとは分かっていません。

しかし、ホルモンの反射的な反応のため、誰にでも起こりうる症状であるといわれています。

おっぱいトラブルのため


飲み残した母乳や乳口炎などで母乳がおっぱいに残ってしまうと、古い母乳が乳腺内に溜まり、やがて母乳の詰まりにつながってしまいます。

母乳が詰まるとおっぱいが張って痛みを生じたり、炎症を起こして乳腺炎になってしまいます。

また、ママも赤ちゃんも授乳に慣れていないうちは、上手に乳首をくわえることができないため、乳首が切れたり傷ついてしまうトラブルも起こります。

どの症状も授乳時に強い痛みを伴うので、ママは身体的に辛い思いをすることになります。

一度、このような症状を引き起こしてしまうと、治った後もまた繰り返してしまうのではないか・・・という不安も生まれます。

母乳育児のストレスのため


母乳に対する悩み
母乳をあげていると、赤ちゃんに十分足りているか、母乳の出や質、抱き方、ママの食べる食事についてなどいろいろなことが気になってしまいます。

食生活での制限
あれこれ気にしていると、母乳育児自体がプレッシャーとなりストレスを感じてしまうこともあります。母乳育児は日常生活でママが制限しなければならないこともあります。

例えば、食生活では母乳の質を上げるために脂肪分の高いものや糖分の高いものは控えた方がいいといわれており、赤ちゃんの健康のためにカフェインやアルコールの摂取は望ましくはありません。

授乳中は自分の好きなものや飲みものを自由に飲食できないということはママにはストレスになり、イライラを生んでしまいます。

授乳時間にあわせた行動
外出する際には、授乳の時間を考えたスケジュールで行動するので、気軽に出かけるのも難しくなり窮屈な思いもします。

ママが何か作業をしていても、赤ちゃんが泣くと作業を後回しにして授乳することになりますので、ママがやりたいことがあっても、授乳に時間を取られて思うようにできないためイライラしてしまいます。

母乳育児はママにしかできないため、授乳の負担がママ一人にのしかかり、母乳育児のストレスを感じやすくなってしまいます。

どうすればいいの?イライラへの対処法

産後はホルモンの影響や睡眠不足、育児への不安感など様々なストレスを抱えやすくイライラしやすい状態です。精神的にも身体的にも不安定な時期なので、イライラしても当然と言えます。

イライラの原因は一つとは限らず、複数が重なっている場合もあります。

イライラの解消のためには、まずは自分は何が原因でイライラしているのかを冷静に考え、原因を突き止めてストレスを軽減するように適切な対処をすることが大切です。

不快性射乳反射はホルモンの影響

不快性射乳反射で授乳中にイライラしてしまうのは、ホルモンによる反射的な反応なので、意志に関係なく起こる症状です。

決してママが母乳育児や赤ちゃんに嫌悪感を抱いているということではありません。授乳中のイライラはホルモンの問題だと理解することで心が軽くなるのではないでしょうか。

対処法としては、ママが授乳を意識しすぎないようにすることが有効なようです。

好きなものを食べる、温かい飲みものを飲む、アロマテラピーをするなどして多幸感を感じ、気持ちをリラックスさせる。

音楽を聴いたり、スマホやテレビを見て気分を紛らわす(もちろん赤ちゃんの様子には目を配りながら)とイライラや不快感が和らぐといわれています。

自分のための時間を作る

赤ちゃんのために毎日を過ごしていると、ママは自分のケアを後回しにしがちです。たまには気分転換に自分のためだけに過ごす時間を作ってみてください。

家族や周囲の人に協力をしてもらい、まとまった睡眠をとる、読書や手芸、外出をするなど。短時間でも育児から離れるとリフレッシュできて、イライラが軽減できるかもしれません。

誰かに相談する


授乳中にイライラするという悩みは、親しい人にも話しづらいことかもしれません。

でも、一人で抱え込んでいた思いを誰かに聞いてもらうだけでも、心が軽くなってイライラが軽減できることもあります。

どうしても身近な人に話すことに抵抗がある場合は、母乳外来や母乳相談室などの専門家に相談してみるといいかもしれません。

授乳を休む、止める

どうしてもイライラに耐えられないのであれば、思いきって授乳を休む、止めるのも選択肢の一つです。

現在の粉ミルクは品質が向上しているので、赤ちゃんはミルク育児でも、母乳並みの豊富な栄養を摂取できます。

授乳のためにママのイライラが止まらず、笑顔で育児ができなくなることはママにとっても赤ちゃんにとっても悲しいことです。

母乳育児を止めることで、ママが心に余裕を取り戻せるのなら検討してみてもいいかもしれません。


授乳中のイライラは様々な原因から生じていることや、その対処法を紹介しました。筆者自身も授乳中のイライラを経験した一人です。

筆者のイライラの原因は、主におっぱいトラブルによるものでしたが、今思えば、自分の時間が取れないこと、睡眠不足などいろいろなストレスを抱えていたと思います。

散々悩みましたが、授乳期間をいつまでと決めて、辛いのは今だけだと開き直ったことで、トラブルのたびに悩んだりイライラすることは減っていきました。

授乳は一生続くものではありませんので、その都度対処していくうちに、時間が解決してくれることもあります。

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浅井貴子
■資格・免許
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
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