
【助産師監修】おっぱいマッサージのやり方を図解で直伝|乳腺炎の予防法も併せて紹介
2023.01.12

監修 浅井貴子
助産師
新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。オールアバウトでも執筆中。
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母乳育児をしたいとき、産後にスムーズに母乳が出るようになるのか、不安ですよね。実際、何も準備をしていなくても産後に問題なく母乳が出るのはごく少数派と言われています。
今回は、妊娠中・産後どちらも取り組める”母乳育児のためのおっぱいマッサージ”について説明します。
おっぱいマッサージとは

おっぱいマッサージは「母乳マッサージ」「乳房 マッサージ」とも呼ばれ、母乳育児をしたいママが母乳を出しやすくするためにするマッサージです。
おっぱいマッサージをすることで期待できる効果は、母乳を出しやすくすることです。
ママの母乳が出やすくなれば、赤ちゃんも母乳を飲みやすくなり、スムーズな母乳育児ができるようになります。
おっぱいマッサージには「乳房全体のマッサージ」と「乳頭部のマッサージ」の2種類があります。
乳房全体のマッサージは、乳房の基底部をよく動かして乳腺を刺激し、母乳が出やすい状態にすることを目的としています。
乳頭部のマッサージは乳管の通りを良くしたり、赤ちゃんが乳首を咥えやすくすることを目的としています。
この記事では、乳房全体のマッサージのやり方を解説します。
乳頭部のマッサージの仕方を知りたい方は「乳頭、乳輪部マッサージ」の記事をご覧ください。
おっぱいマッサージはいつから?
おっぱいマッサージは出産後からはじめることが多いですが、産後スムーズに母乳を出すために、産前からケアを始めるのがおすすめです。
産前から始める場合は、妊娠後期(10ヶ月目(37週目)以降)からがおすすめです。
ただし、妊娠後期であっても身体の状態は人によって異なるため、医師や助産師さんに相談してから始めるようにしましょう。
また、以下に該当する場合はおっぱいマッサージはやらないようにしましょう。
<おっぱいマッサージをやってはいけない時>
・妊娠初期(妊娠16週目頃以前)
・妊娠中期(5ヶ月目(16週)~7ヶ月(27週))
・逆子や帝王切開を予定されている方
いずれも、乳房を刺激することでオキシトシンが分泌されて子宮収縮が促される可能性がありますので、おっぱいマッサージは控えるようにしましょう。
おっぱいマッサージのやり方(SMC自己マッサージ)
マッサージをする際はマッサージオイルを使用しましょう。AMOMAでは低刺激で保湿力の高いライスオイル、肌のバリア機能をサポートしてくれるオリーブオイルを配合した、カレンデュラオイルをおすすめしています。
産後のママのデリケートなお肌のケアにおすすめです。

マッサージのタイミングとしては、入浴中やお風呂上りなど、体が温まっているときに行うと血液循環がよくなりより効果的です。
入浴ができない場合は、おっぱいを蒸しタオルで温めながら行いましょう。なお、産後と産前いずれもやり方は同様です。
①おっぱいを持ち上げて、外側から押す

右手の手のひらと指で、バスケットボールをつかむように指を広げておっぱいを持ちます。
左手の母指球(図)をおっぱいの上部にあてて、右側に向かって横に押します。この動作を4~5回くり返しましょう。
痛い時はもっと外側から押すようにしましょう。
②手の位置を少しずらして、押していく

右手の位置を少し下方にずらし、小指側をおっぱいの外側斜め下にあてます。
右手は左手の上にあて、力を入れる点(図)に注意しながら、右の肩に向かって押すようにします。
この動作を4~5回くり返しましょう。
また、右の手のひらでおっぱいを潰さないようにだけ気を付けましょう。
③おっぱいを下から上に持ち上げる

右手の手のひらの小指側を、おっぱいの下にあてます。左手はその下にそえるように置いておっぱいを真上にすくい上げるようにします。この動作を4~5回くり返しましょう。
前から手のひらが見えるくらいがちょうどいい位置です。
おっぱいマッサージをしないと母乳は出ない?

おっぱいマッサージをしなかったからといって、母乳が出ないということはありません。人によって分泌量は異なりますし、授乳回数や月齢によっても変わってくるからです。
ただし、人によっては「産んでから初乳を出すときのマッサージが痛かった!」と感じるケースもよくありますので、産後に少しでも母乳をスムーズに出したい場合は、産前からのケアを心掛けるようにしましょう。
産前(妊娠後期(10ヶ月目(37週目)以降)から始める場合は1日1回入浴時に、10分~15分のマッサージをするのがおすすめです。お腹が張るときはすぐにマッサージを中止するようにしましょう。一度にたくさんやるのではなく、こまめに行うようにしましょう。
産後から始める場合は産んですぐから始めるようにしましょう。産後授乳中は、いつおっぱいマッサージをしても問題ありませんが、可能であれば授乳前にマッサージをするのがおすすめです。
痛くて継続できそうもないな…という時は、まずは蒸しタオルで温めて、1回軽くマッサージすることから始めれば大丈夫です。不快な感じがした時は、無理せずその日は中止しても構いません。
蒸しタオルで温めるだけでもマッサージ効果は得られますので、焦らずできることからはじめてみましょう。
乳腺炎予防としてのおっぱいマッサージ

おっぱいマッサージは母乳を出しやすくする以外にも、おっぱい全体の血液循環を促すことで乳腺が詰まらないように整える効果も期待できます。
乳管の詰まりは乳腺炎を引き起こしやすくするため、乳腺炎を予防するという意味でも、普段からマッサージをしておっぱい全体の血流を良くしておきましょう。
注意点として、乳腺炎気味の方や、赤く炎症が起きている場合や詰まっている場合は、自己判断でのおっぱいマッサージだとかえって悪化してしまうことがありますので、専門家の方にマッサージをしてもらうようにしましょう。
乳管がつまりやすいと感じる時は、こちらの記事を見てみてください。
【医師監修】乳腺炎予防のために行うべき3つのこと
カチカチおっぱいの為のハーブティー

おっぱいのつまりやチクチクに。
スムーズな母乳の巡りをサポートするハーブティーです。
おっぱいマッサージに頼りすぎないように

母乳を出しやすくしたり、乳腺炎の予防効果は、おっぱいマッサージだけで得られるものではありません。
おっぱいマッサージだけに頼るのではなく、偏った食生活にならないように気を付ける、しっかりと睡眠をとる、ストレスを溜めないようにするなども同時におこなっていくことが大切です。
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般

管理栄養士・幼児食アドバイザー
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど

日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
心理カウンセラー

日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
産婦人科医
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急ぎハーブティーを買い、授乳は痛いけど頑張り、ゴリゴリするところをマッサージしたり、ハーブティーを飲んだりとしていたら、1週間もたたずに改善できました。白斑やつまりは再発しやすいみたいなので、続けたいと思います