出産準備

【助産師監修】帝王切開で出産!~手術の流れや術後の様子について~

2019.03.05

AMOMA編集部

妊活中~産後の育児期は、かけがえのない喜ばしい時間であるとともに、時には不安や心配の方が多くなることもあります。“AMOMAよみもの”を通して少しでもその不安を解決し、笑顔で過ごすお手伝いができればと願っています。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

さまざまな理由によって手術で赤ちゃんを取り出す帝王切開。

帝王切開は、通常の経膣分娩(けいちつぶんべん)では赤ちゃんが出られない場合、安全に誕生させるために必要な処置です。今では5人に1人が帝王切開で出産しているといわれています。

今回は帝王切開の手術の流れや術後の様子についてご紹介します。

帝王切開とは?


赤ちゃんが子宮から腟を通って産まれる通常のお産を「経腟分娩」といいます。

経腟分娩が難しいと判断されたときには、お母さんのお腹を切って赤ちゃんを取り出します。これを「帝王切開」といいます。

何らかの理由で経膣分娩では赤ちゃんが出てこられない場合や母子の生命に危険がある場合などに行います。

帝王切開による出産の割合はここ30年近く年々増えています。平均すると4人に1人は帝王切開で出産しているといわれています。

この背景には、年々高齢出産の割合が増えていることが一つ考えられます。

帝王切開を行うのはどんな場合?

帝王切開の種類

帝王切開には、2つのパターンがあります。

予定帝王切開
何らかの理由でリスク回避が必要だと判断され、正期産に入る37週以降に手術日をあらかじめ決めて行われます。

緊急帝王切開
お産が始まってからトラブルが発生し、早急に赤ちゃんをお腹から取り出さなければならなくなった場合に行われます。

予定帝王切開になる主なケース

逆子、横位
前期破水、臍帯(さいたい)圧迫などのリスクがある。

前置胎盤
胎盤が部分的、もしくは完全に子宮口をふさいでいる。

多胎妊娠
双子、三つ子などのケースは母子の安全を優先する。

妊娠高血圧症候群
重度の妊娠高血圧症候群の場合、胎盤の血流が悪くなり、赤ちゃんに悪影響が出る。

狭骨盤(きょうこつばん)
ママの骨盤が狭く、経膣分娩が不可能。

児頭骨盤不適合(じとうこつばんふてきごう)
赤ちゃんの頭がママの骨盤より大きい。

緊急帝王切開になる主なケース

遷延(せんえん)分娩
分娩が進まず、赤ちゃんの心音が弱くなる。

軟産道強靭(なんざんどうきょうじん)
出産の時に赤ちゃんが出てくる道、子宮口や膣が固く、赤ちゃんがなかなか出てこられない。

胎児仮死
赤ちゃんの心拍が低下してきて呼吸や循環機能に異常が起きる。

回旋異常
赤ちゃんが産道を通る時に通常の回り方ができず、うまく下りられない。

臍帯下垂、臍帯脱出、臍帯巻絡(さいたいけんらく)
へその緒のトラブルが発生する。

帝王切開の手術の流れは?


帝王切開は昔から行われている安全性の高い手術で、手術時間は30分〜1時間ほどです。緊急帝王切開はケースバイケースなので、ここでは予定帝王切開の大まかな流れについてご紹介します。

1.手術前の処置
医療施設によって違いはありますが、手術前日に入院し、検査や浣腸、剃毛(ていもう)、導尿、点滴などの処置を受けます。

2.麻酔の実施
一般的には手術中も意識がある下半身だけの局所麻酔を行います。

3.切開手術開始
麻酔が効いているかを確認した上で切開手術を開始します。医師や産院の考え方、帝王切開の原因などによって切り方は縦、横と異なりますので、事前に確認しておきましょう。

4.赤ちゃん誕生
お腹を切開してから5〜10分ほどで子宮の中から赤ちゃんを取り出し、へその緒を切ります。その後、胎盤も取り出します。

5.縫合
子宮を縫合(ほうごう)し、皮膚も縫合します。縫合方法は医療機関により異なりますが、糸やステープラーと呼ばれるホチキスのような針、または溶ける糸を使用する場合もあります。

術後の経過について


帝王切開の手術後は、問題がなければ入院室で休みます。麻酔が切れた後は傷が痛みますが、鎮痛剤や麻酔を継続するなどして対応されます。

手術後2日程度は傷の痛みと子宮収縮痛が重なり、少し強い痛みを感じることもあります。腹圧がかかると痛むので、起き上がる時などは慎重に。

退院するころには大きな痛みはとれ、次第に落ち着いていくようです。また手術後1〜2日は食事がとれないので点滴を受けることになります。

経過に問題がなければ、翌日から歩けるようになり、赤ちゃんを抱っこしたり、授乳することも可能です。

溶ける糸で縫合されている場合は抜糸の必要はありませんが、溶けない糸の場合、術後5~7日後に抜糸します。

術後7〜10日ほどで退院となります。最近では普通分娩+1日と退院が早くなってきている病院も増えてきました。


いかがでしたでしょうか。妊婦さんなら誰もが帝王切開になる可能性があるということがお分かりいただけたかと思います。

帝王切開は赤ちゃんを安全に誕生させるための一つの選択肢であるということを、頭の片隅に置いておいてくださいね。

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浅井貴子
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看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
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