体の悩み

【助産師監修】稽留流産とは?原因や対処法について

2018.12.19

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

待望の赤ちゃんに出会える日を心待ちにしている妊娠中のママにとって、流産について気になることは多いのではないでしょうか?

特に、安定期に入る前に起こる初期流産は、流産全体の約80%を占めているといわれています。今回は、初期流産の一つの稽留(けいりゅう)流産とは何か?原因や対処法などについて紹介します。

稽留流産は初期流産の一つ

稽留流産とは、赤ちゃんが子宮の中で亡くなっていて妊娠が継続できない状態になっていても、赤ちゃんが母体の外に排出されず子宮内にとどまっている状態のことです。

妊娠初期に起こる初期流産の一つで、稽留流産はほとんどの場合、きわめて初期の妊娠12週目未満に多く起こります。

稽留流産の症状はあるの?

流産とは

そもそも流産とは、妊娠22週目よりも前に赤ちゃんが亡くなってしまうことをいいます。全妊娠のうち約10〜15%が流産になるといわれています。

一般的な流産は、出血や腹痛などの症状がありますが、稽留流産は無症状の場合が多く、赤ちゃんが亡くなってから2週間ほど経っても、出血や腹痛などの典型的な流産の症状が見られないこともあります。

妊娠中の症状が続く

胎児や組織などが子宮内に留まったままなので、体内のhCGホルモンの分泌に大きな変化がないため、つわりがあったり、基礎体温が高温のままであったりと妊娠中の症状が続くこともあります。

このため、ママは気がつかないまま過ごしてしまい、次の定期健診や妊娠検査などで初めて、赤ちゃんの心拍が止まっていることが確認されて発見されることが多いです。

自覚症状のない状態で病院に行って、突然、事実を伝えられることになるのでママにとっては、大変大きなショックを受けることになります。

稽留流産の原因は何?

胎児側の問題

稽留流産の原因のほとんどは、胎児側に問題があるといわれています。

先天的に胎児の染色体に異常があったり、受精卵がなんらかの理由で生命力を失ってしまい上手く育たなくなるためとされています。

また、子宮内の組織異常が原因で良い胎盤ができず受精卵が上手く育たなくなることもありますが、これは子宮そのものに問題があるわけではありません。

稽留流産を未然に防ぐことは難しい

このような問題の場合は、ママ側に原因があるわけではなく、流産を未然に防ぐことは不可能なため、もし稽留流産になってしまってもママは自身を責めないようにしましょう。

また、一度、稽留流産になっても次の妊娠には、あまり影響しないと考えられています。普段の生活や仕事、運動が原因で初期流産が引き起こされることはあまりありません。

流産へのストレスや不安を溜め込みすぎないで、次の妊娠に向けて心身を整えていくようにしましょう。

稽留流産の対処法は?

稽留流産の疑い

妊娠6〜7週目になっても膣内エコー検査で胎児が確認できない、確認はできても心拍が聞こえない、一度は確認できた心拍がその後に止まってしまった場合などは稽留流産が疑われます。

慎重に胎のうや胎児の状態の検査が行われ、1週間ほど日にちをあけて再度、検査をしても胎児の心拍がない、成長がまったく見られない場合は稽留流産と診断されます。

稽留流産の対処法

稽留流産の対処法としては、まれに、自然に体外に出てくる自然流産を待つこともあります。

しかし、稽留流産をそのままにしておくと、進行流産に移行して強い腹痛と大量の出血を伴い危険な状態におちいることもあります。

そのため、多くの場合は、子宮内の胎児や組織を取り出す「子宮内容除去術」という手術を行うことになります。

子宮内に組織が残っていると、次の排卵や妊娠ができません。手術で完全に取り除いて排卵の再開を促し、次の妊娠に備えられるようにするのです。

手術は全身麻酔か局所麻酔で行い、手術時間は10分程度と短時間の場合が多いようです。

手術後は1〜2週間は安静にして過ごし、次の妊娠は生理が再開して体が整うまで1〜2ヶ月ほど待つのが望ましいといわれています。

それぞれの身体の状態によって異なってきますので、次の妊娠については自己判断せず医師に相談しましょう。

生活習慣を見直そう


稽留流産のような初期流産の原因は、胎児側の問題であることが多く、ママの方から完全に予防することは難しいです。

しかし、喫煙、カフェインやアルコールの過度の摂取は、母体や胎児に悪影響を与えるといわれているので、妊娠中全般を通して控えましょう。

妊娠中は適度な運動で体を温めて血流を良くしたり、体を冷やさないように心掛けて子宮組織の代謝を良くして、胎盤の状態を安定させると良いですね。

バランスの取れた食事、十分な睡眠を心掛けてストレスを溜め込まず、赤ちゃんが育ちやすい体作りを目指しましょうね。

関連する記事
【助産師監修】妊娠中の受動喫煙。赤ちゃんへの影響は?
【助産師監修】妊娠中にコーヒーはだめ?カフェインの赤ちゃんへの影響

あなたの授乳の悩み、話してみませんか

先輩ママのほっとLINE

スタッフは全員ママ
気軽にLINEしてくださいね

先輩ママのほっとLINE先輩ママのほっとLINE

※LINE相談の対応時間は平日10:00~16:00

INSTAGRAM 授乳や子育てに関する情報満載! amoma_naturalcare

フォローする
This error message is only visible to WordPress admins
There has been a problem with your Instagram Feed.

カテゴリーランキング

AMOMAコラムについて

妊娠、出産前後はママにとっては初めてのことばかり。「これってあってるのかな?」 「大丈夫かな?」と不安や疑問に思った時につい手に取りたくなるような情報をお届けしたいと考えています。そのため多くの情報は助産師をはじめ専門家の方々に監修。テーマから読めるようになっていますので、ぜひ気になるものから読んでみてください。あなたの不安や疑問が解決できるお手伝いになれば嬉しいです。

AMOMAのパートナー

助産師/商品開発パートナー
浅井貴子
■資格・免許
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
■専門分野
母乳育児、新生児~幼児にかけての育児相談全般、アロマやハーブを使用した産前、産後ケア 代替療法全般
管理栄養士
にしだかなこ
■資格・免許
管理栄養士・幼児食アドバイザー
■専門分野
メンタルヘルス食カウンセリング、子供の心を育てる食育講座、企業向け健康経営セミナーなど
心理カウンセラー
佐々木明子
■資格・免許
日本神経言語心理家族療法協会公認家族心理カウンセラー、NLPファミリーセラピー・マスタープラクティショナー、子どものこころのコーチング協会インストラクタ
■専門分野
心理カウンセラー
産婦人科医
牛丸敬祥
■資格・免許
日本産婦人科学会会員その認定医、産婦人科専門医、日本ソフフロロジ学会会員、東京オペグループ会員、日本アロマテラピー学会会員
■専門分野
産婦人科医

リクエスト募集

AMOMAではエキスパートに聞きたい授乳期の不安やお悩みを募集しています。頂いたリクエストについてラジオ、コラム、動画でお届けします!

リクエストする

その他のお問い合わせはこちらから

MAILメールで問い合わせ
TOP
閉じるボタン
バナー画像