
【助産師監修】妊娠中に注意しておくべき食べ物~理由やリスクについて~
妊娠中の食事は、お腹の赤ちゃんに影響すると言われています。食事は毎日の事なので気を付けたいですよね。食べ物によっては妊娠中に摂りすぎると好ましくないものがあるようです。
妊娠中に注意しておくべき食べ物についてご紹介します。
注意するべき食べ物
生の魚介類
生魚や貝類は妊娠中は特に注意が必要です。妊婦さんは普段より、免疫力や抵抗力が下がっているので食中毒の原因になりやすいようです。また、一部の魚にはメチル水銀と呼ばれる化合物が多く含まれているものがあります。
妊婦のメチル水銀の過剰摂取が、まだ未熟な胎児の神経発達面に影響を及ぼす可能性があるとアメリカの食品医薬品局(FDA)は摂取制限を勧めています。
ただ魚介類のすべてに多くのメチル水銀が含まれるわけではありません。
メチル水銀は食物連鎖の中で、小さい生物が大きい魚に食べられていくうちに体の中で濃縮されていきます。なので食物連鎖の上の方にいる魚、特に金目鯛やマグロなどに多いのでお好きな方は注意が必要です。
量に関しては、1回80g(刺身だと1人前、切り身だと1切れ以内)を週に一回程度にすると安心です。
生肉
牛、鶏、豚、羊、馬、などの生肉を加熱処理せず生のまま食べるのも良くないと言われています。これらの生肉が「トキソプラズマ」という寄生虫による感染症の感染ルートになってしまう可能性があるのです。
妊婦は免疫力が下がっているためトキソプラズマに感染しやすく、感染すると妊婦の血液を介して胎児に感染し、水頭症という脳に異常が出る病気になったり、目の網膜の炎症を起こすことがあります。
生卵
卵の殻に鶏の糞がついていることがありますよね。その糞の中に「サルモネラ菌」という菌が含まれており、卵を割った時に中の卵黄や卵白に付着してしまうことがあります。
サルモネラ菌に抵抗力のない妊婦が感染してしまうと、嘔吐下痢や発熱などの症状を引き起こします。またこのような症状が重症化し、脱水や食事もとれない状態が長く続くと胎児への発育に影響が出ることも考えられます。
ナチュラルチーズ、生ハム、スモークサーモン、コールスロー
これらは加工された食品ですが、こちらも「リステリア菌」という菌による食中毒に感染する可能性があります。
リステリア菌は、河川水や動物の腸管内に多く存在する菌です。
リステリア菌は低温でも、塩分が多く存在していても増殖できる菌です。
長期間冷蔵庫で保存でき、加熱調理しなくてもそのまま食べることが出来る食品は原因となる可能性がありますので注意が必要です。生ハムやフレッシュチーズもピザなどで加熱してあれば大丈夫です。あまり神経質にならない事も重要です。
ビタミンAが多く含まれるもの
ビタミンAは本来、成長の促進や、聴覚視覚、皮膚粘膜、たんぱく質の合成などを助ける重要な栄養素ですが、妊娠中は摂取するときに注意が必要です。
特に妊娠3ヶ月頃までの初期にビタミンAを過剰に摂取すると胎児の奇形が起こるリスクが高くなると言われています。
口蓋裂という上あごが裂けた状態や、水頭症、小耳症などが代表的な例です。
ビタミンAが多く含まれる食べ物の例としてうなぎ、鶏レバーなどがあります。
毎日過剰に食べ過ぎなければ大丈夫ですが、ビタミンAが豊富なサプリメントとの併用は避けた方が無難かもしれませんね。
まとめ
妊娠中に食べてはいけないものとして上記に色々な食品をあげました。結構色々あります。お気づきでしょうが、加熱処理をしていないものは避けた方が無難です。
産後である筆者の私は、妊娠中に勉強不足で生肉やナチュラルチーズを食べたりもしましたが無事に健康な赤ちゃんが生まれてきてくれました。しかし、万が一のことがあれば、知らなかったでは済まされない後悔が付きまとっていたと思います。
妊娠中はあれがダメこれがダメと色んな制限がつきまといますが、妊娠したらもう自分一人だけの体ではありません。出来る限りリスクを減らし、健やかな妊娠生活と赤ちゃんの為に、気を付けて食品選びをしていきましょう。
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なお
2015年11月生まれの女の子の母です。職業は薬剤師でただ今育児休業中。優しくて面白いパパに支えられながら、慣れない家事育児に奮闘中です。子どもの成長と休日の家族団らんが今の楽しみ。

【監修】浅井 貴子あさい たかこ
新生児訪問指導歴約20年以上のキャリア を持つ助産師。毎月30件、年間400件近 い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児 の育児のアドバイスや母乳育児指導を実施。