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【助産師監修】顕微授精とは?費用や成功率、リスクが知りたい!

2018.09.25

Yoneco Oda

Mama writer

2010年生まれと2016年生まれの姉妹を育児中のママです。おっとりマイペースな姉と、好奇心旺盛でパワフルな妹。姉妹でも性格の違う二人の様子に、子育ての新鮮さや面白さを感じている今日この頃です。

浅井貴子

助産師

新生児訪問指導歴約20年以上キャリアを持つ助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、出産直後から3歳児の育児アドバイスや母乳育児指導を実施。

不妊治療には、人工授精体外受精のほかに顕微授精があります。顕微授精は、顕微授精以外では妊娠する可能性がないと判断された場合に検討される不妊治療の最終の手段といわれています。

今回は、顕微授精の費用や成功率、リスクなどについて詳しく紹介します。

顕微授精の治療法

顕微授精とは

顕微授精は、高度生殖医療のひとつで「ICSI(イクシー)」とも呼ばれる不妊治療法です。卵子と精子を体内から取り出して、人工的に受精させる方法です。

体外受精とほぼ同じ工程で進みますが、顕微授精は顕微鏡を見ながら人為的に選んだひとつの精子をガラス針を使って卵子に直接注入します。

受精した後は受精卵を培養して、ある程度成長させてから子宮の中へ移植します。

顕微授精の流れ

①治療の準備→②卵巣刺激→③採卵(卵子を採取すること)・採精(精子を採取すること)→④受精・培養→⑤胚移植(胚を子宮内に移植)→⑥妊娠判定

④の受精方法以外は体外受精の工程と同様です。顕微授精の場合は、取り出した卵子と精子の中から、良好で状態のいいものを一つ選んで、顕微鏡下で卵子の中に精子を直接注入して受精させます。

人工的に受精させるため体外受精よりも受精率が高くなります。

不妊治療は、一般的にタイミング法→人工授精→体外受精へとステップアップしていきます。

人工授精や体外受精でも妊娠が成立しない場合は、最終段階として顕微授精が行われることになります。

顕微授精の対象となるのは、重度の男性不妊、女性に抗精子抗体がある、体外受精を繰り返し行っても受精・妊娠しないなどの、顕微授精以外の方法では妊娠が望めない夫婦です。

治療にかかる費用

高額といわれる不妊治療ですが、実際にはどのくらいの費用が必要となるのでしょうか?顕微授精には健康保険が適用されないため、全額が自己負担となります。

費用は実施する医療機関によっても異なりますが、1回あたり40〜60万円程度はかかると考えてください。

体外受精に比べると10万円ほど高くなりますが、これは卵子に精子を注入する工程で、高度な技術と設備のための費用が発生するためです。

また、顕微授精は1個の卵子に1個の精子を注入する方法なので、受精作業を複数回した場合、その作業をした回数分の金額が加算されていくことがほとんどです。

特定不妊治療の助成金

治療費が高額になると、顕微授精を考えていてもためらってしまう方もいるかもしれませんね。でも、不妊治療をサポートしてくれる制度があるので活用しましょう。

特定不妊治療の助成金を利用しよう

体外受精と顕微授精は「特定不妊治療」とされていて、国から助成金を受け取ることができます。初回は30万円まで、2回目からは1回につき15万円までが助成されます。

所得制限や治療の初日の妻の年齢が43歳未満であること、指定する医療機関で治療している方などの条件がありますので厚生労働省のホームページで確認してみてくださいね。

地方自治体でも独自の助成金制度を設けているので、お住まいの都道府県や市町村役場のホームページや窓口で確認してみてくださいね。

医療費控除も受けられる

不妊治療は医療費控除の対象となりますよ。医療費控除とは、生計を一にする家族が1年間に10万円以上の医療費を支払った場合、確定申告をして一定の金額の所得控除が受けられる制度です。

助成金を受け取っている方は、不妊治療費から助成金を差し引いた金額が医療費控除の対象となります。所得制限により助成金を受けれなかった方も医療費控除は受けられますよ。

顕微授精の成功率

受精率は高い

顕微授精の受精率は約50〜70%と人工授精や体外受精と比べると高い確立です。受精した後、育った胚を子宮に移植し、着床した場合に妊娠成立となります。

しかし、移植した胚が着床しなかったり、子宮外に着床してしまうこともあります。

成功率は女性の年齢の影響が大きい

また、妊娠が成立した後、流産・死産する可能性もあり、妊娠して出産に至る確立は、32歳くらいまでは約20%、それより高齢だと緩やかに下降し、36歳くらいから下降率は大きくなります。

40歳では約7〜8%、45歳では1%を割ります。(体外受精、顕微授精、凍結融解胚移植を含む)
日本産科婦人科学会 Human+より

顕微授精の成功率は、女性の年齢の影響がとても大きく、受精率が高い顕微授精であっても年齢が高くなっていくほど妊娠、出産の成功率は低くなっていきます。

顕微授精のリスク

染色体異常の確率

顕微授精による赤ちゃんへのリスクは、まだはっきりとはしていません。生まれてくる赤ちゃんに染色体異常が発生する確率は、自然妊娠とほとんど変わらないといわれています。

染色体異常などの先天性の異常は、妊娠する女性の年齢と関係しています。

高齢になるほど、染色体異常が発生する確率が高くなるとされていますので、顕微授精の授精や胚移植の手法で起きるわけではないと現時点では考えられています。

リスクを低くするためには規則正しい生活が基本

顕微授精で選ばれる卵子と精子の質が高ければ、妊娠率も上がり、染色体異常が起こるリスクも低くなります。卵子、精子の質を高めるためには、規則正しい生活が基本になります。

普段から、夫婦ともにストレスを溜め込まないようにして、規則正しく健康的な生活を送るように心掛けておくのがママとパパに出来る事でしょう。

夫婦でしっかり話しあう事が大事

顕微授精は、重度の男性不妊などのために妊娠が望めない夫婦も妊娠の可能性が持てる不妊治療法です。

しかし、治療には痛みをともなうこともあったり、かかる費用が高額になるため、精神的にも金銭的にも負担は少なくありません。

そのため、顕微授精を行うかどうかは、夫婦でしっかりと話し合いをして、医師と相談しながら進めて行くことが大切になります。

顕微授精してまで子供が欲しくない人、どんな事をしてでも子供が欲しい人、価値観は夫婦の中でも多様化しています。まずは夫婦で舵を一つにする事が治療を進めていく上で大きなポイントになります。

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助産師/商品開発パートナー
浅井貴子
■資格・免許
看護師、助産師、IFAアロマセラピスト、JMHAメディカルハーバリスト、NCA日本コンディショニング協会認定トレーナー
■専門分野
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