赤ちゃんとの日々を、
写真に残す


取材させていただいた
フォトグラファー
亀山ののこさん
東京生まれ。9歳の双子、5歳の3兄弟の母。ポートレート(人物写真)を軸に、雑誌や広告を中心に活動中。2011年より福岡に移住し、2012年に写真集『100人の母たち』を発行。 公式サイト:Nonoko Kameyama Photography
■いつか大人になるわが子に、かけがえのない一瞬を贈りたい


AMOMAスタッフ 榊:
「本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
亀山さんには個人的に家族写真を撮っていただきましたね。その節はお世話になりました!
今日はカメラマンでも、一人のお母さんでもある亀山さんに、赤ちゃん期ならではの写真との付き合い方についてお伺いしたいです。うちにも1歳と4歳の姉弟がいて、日々スマホで撮影しまくって(笑)いるんですが、ポーズや表情がいつも似たような感じになってしまうんです。撮ったら撮りっぱなしでデータが溜まっていくのも、どうしていいか分からなくて」
亀山さん:
「赤ちゃんって日々成長するから、その時しかない表情やしぐさをたくさん撮りたくなりますよね。今はスマホで手軽に撮れるからこそ、確かにデータは溜まりがち。ちょっとずつプリントしてアルバムに残していくのがおすすめですよ。
写真を仕事にしていますが、私も家では三兄弟の母親。お食い初め、七五三など節目の日の写真はもちろん、いつもの様子も写真に残したいなと思っています。ふいにシャッターチャンスを見つけて、スマホでさっと撮ることも多いですね」


AMOMAスタッフ 榊:
「亀山さんもスマホで撮ることがあるんですね!? 」
亀山さん:
「もちろん! スマホでも撮りますよ(笑)。いい表情をしているのに一眼レフを取り出していたら、撮り損ねてしまいます(笑)。子どもとの思い出を残すなら、何を写真に収めるかを意識するといいと思います。沐浴や体重測定など乳児期ならではのシーン、上のお子さんがいれば、赤ちゃんをあやしてくれている姿もかわいい。大きくなったら、絵本を読んでいるとき、おもちゃで遊んでいるときなど、何かに熱中しているときもシャッターチャンスです」
AMOMAスタッフ 榊:
「うちの4歳の娘、写真が大好きなんです。でも、撮ろうとすると、ピースなどポーズした写真ばかり(笑)。熱中シーンを狙おうとしても、カメラに気づいた瞬間ピースするんです」


亀山さん:
「わかります! うちの子たちも、熱中していてもカメラに気づくと意識しちゃって。もう、隠し撮りするしかないですね。
あと写真を撮るときに意識しているのは、子どもたちだけでなく、私たち親も一緒に収めることですね。つい可愛い〜と子どものことばかり撮ってしまいがちですが、お父さんやお母さんも一緒の写真を残すと、写真一枚から愛されてきたことが伝わると思うんです。おじいちゃんやおばあちゃん、幼い兄弟のほかにも助産師さんや近所のおばちゃん、そして、小さいベビー布団やメリーなどが置かれた部屋の様子がわかる写真があるだけで、一緒に見返すたびにコミュニケーションが広がるんじゃないかな。
おんぶ姿の写真に“おんぶしてると寝てくれて、家事がすすんだの”、離乳食を食べる写真に“はじめておかゆを食べたとき、変な顔になっちゃって”とか、写真から話がどんどん膨らんで。いろんな人たちに囲まれて育ったんだよと、言葉だけでは伝えきれない思いが伝えられるんです。子どもたちが大きくなって見返すときに、きっと心が温かくなるんじゃないかな。アルバムに残すことは“家宝を作ること”と思っています」


AMOMAスタッフ 榊:
「家族の真ん中にアルバムがあるって、素敵ですね。
わが家は玄関に家族写真を飾っているんですが、靴をはきながら、“ママって髪が長い方が似合うんじゃない?”など、当時の様子に触れてきます。また別の日には、違う視点でツッコミが入ったり。見るたびに言うことが異なるから面白いですよね」
亀山さん:
「かわいい~!そうなんです、子どもの視点って面白いから、こちらまで笑顔になるし。
いつでも見られるところに飾るのはいいですね。ウチも手の届くところにアルバムを置いているので、子どもたちは飽きずに見ています。キレイに撮れてなくても喜んでくれるんです。撮る瞬間の幸せだけでなく、これから先の家族の温かな時間へとつながっている気がして」


■笑顔の奥の背景も、想いも一緒に
AMOMAスタッフ 榊:
「亀山さんは、写真集『100人の母たち』でたくさんのお母さんを撮影されていますね。写真家として、被写体のテーマに母と子を選ばれて感じたことはありますか?」


亀山さん:
「『100人の母たち』では、子どもたちの未来を考えるお母さん方に撮影の協力をしていただきました。最初は、社会に対するメッセージとして険しい表情を撮ろうと思っていたのですが、子どもと一緒にいるお母さんたちって愛情に溢れているんですよね。遊び出す子どもを見守る顔もほころんでいるし、頬を寄せると幸せそう。その姿こそ、本当に愛おしく、守りたいものを見つめる母の姿だと感じて、子どもと一緒のありのままの様子を撮影しました。
お母さん一人で撮らせてもらおうとしても、これほど温かい表情はでないんです。不安もあるだろうに、子どもの前では自然と笑顔になるし、そして笑顔でいたい。母としての想いの強さを感じました。
と言いつつも、わが家の大きくなってきた双子の息子たちといえば、口ごたえしてきたり、そんな態度を叱ったりする日々です(笑)。ただ、“愛おしいこの子たちを守りたい”のはこれからもずっと。写真を眺めるたび、生まれた瞬間の感動を思い出しています」
AMOMAスタッフ 榊:
「私も今の子どもたちの姿をアルバムに残し、未来の家族に贈りたくなりました。今日は貴重なお話をありがとうございました」
私のオフショット
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暮らしに溶け込む、写真の存在
壁にかけられたフォトフレームなど、亀山さんのお宅には、自然と写真の存在が溶け込んでいます。
「昔の写真は、ママ、この頃は可愛かったね!なんて憎まれ口も叩かれます」と笑う亀山さん。写真をきっかけに家族の良い時間が育まれているんですね。
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アルバム整理は、無理なく少しずつ
「アルバムは空いた時間に少しずつ整理しています。今やっと5冊目まできたかな?ゆっくりペースです」という亀山さん。
パソコンに写真を保存する時は、撮影日をタイトルにしておくとあとで便利なんだそう。
お話を終えて


写真を撮る瞬間よりも、撮ったその先に目を向けて
赤ちゃんとの暮らしは「かわいい」や「初めて」の連続で、つい夢中で撮ってしまう写真。でも亀山さんとお話して、写真の本当の価値は“撮ったその先”にあることに気づかされました。また1歳の息子は言葉を話せませんが、「息子が大きくなったら、どんな風に伝えよう」そんな視点を持つだけで、今日撮る1枚が特別な宝物に変わりそうです。

AMOMA STAFF榊 沙織
元おっぱい星人な4歳と1歳の姉弟の母です。陥没乳首&母乳過多で悩み多き授乳期を経験。授乳期のママを支えたい!とAMOMAに入社しました。平日はほぼワンオペでバタバタ…散らかり放題の部屋はとても人には見せられません(笑)。子どもたちを寝かしつけた後のアイスとドラマが日々の活力。全力疾走な毎日を過ごしています。