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産後は人生の要。
子どもとじっくり向き合おう

安 真梨子
聞き手:安 真梨子
産後は人生の要。子どもとじっくり向き合おう

取材させていただいた

一社)産前産後サポーター協会 心ゆるり
代表理事・助産師
豊田 晴子さん

今回は、「母乳なんでも相談室」を新たに監修していただくことになった、助産師・豊田晴子さんにお話をうかがいました。

#プロフィール
病院勤務の助産師を経て独立。のべ43年間出産に携わる。乳房マッサージや育児相談のほか、産前産後ケアサポーター協会を立ち上げ講座を実施。自治体の産後ケア施策のアドバイザーとしても活動中。ママがくつろげる場所にしたいと古民家を改装して作った「心ゆるり」。 助産師さんが地域におりて、地域みんなで子育てができることを目指している。

寝て食べてゆっくりして。元気な私に戻れる場所

AMOMAスタッフ 安:

産後ケア施設「心ゆるり」は古民家を改装した場所とお伺いしていますが、親戚の家に遊びに来たような落ち着く空間ですね。

豊田さん:

それは嬉しいです!ご家族も中に入っていただけるように土間を作ったりと、皆さんがくつろげる場所になるような工夫もしてるんですよ。ここではおっぱいマッサージや温熱療法のリラクゼーションを受けたり、手作りのランチを食べたりして、とにかくゆっくり過ごしていただいています。とにかく寝て食べて、元気になってほしいんです。

他には外来でのマッサージや育児相談、更年期相談まで。ご相談内容に合わせて専門の先生にお繋ぎするなど、女性へのいわゆる〝インフォメーション〟の役割も担っています。

社会で一体となって産後のママを支えたい

AMOMAスタッフ 安:

病院で20年以上、助産師をしていたという豊田先生。独立してこの施設を立ち上げたきっかけを教えてください。

豊田さん:

病院という大きな組織のなかではできない、産後のママのぺースに合わせたケアをしたかったのと、育児に不安を抱いている人の「帰る居場所」を作りたかったんです。何かで悩んだ時も頼ってここに帰って来てほしい。

また、産後のママをしっかりケアしていくには地域と病院とで一体となって支えることが必要です。だから独立する直前の数年間は、助産師として病院で勤務する傍ら、休暇をとって行政の母親学級、両親学級や赤ちゃん訪問も行い、徐々に地域に根差していきました。

AMOMAスタッフ 安:

「一人で何とかしなきゃ」と頑張らないといけない状況に置かれているママは多いですよね。

豊田さん:

以前は身近に、出生から成長を見守るお産婆さんがいたり、同居する家族からお話を伝え聞く機会があり、今より安心して子育てできる環境があったように思います。

昔のひとって産後の床上げが21日目って言ってたんですよ。ようするに3週間。今改めて調べてみたら、科学的な根拠がちゃんとあるんです。昔の人は観察で3週間って感じていたんですよね。今は、核家族化も進み、弧育てを余儀なくされて休みたくても休めない方が多くいらっしゃいます。

AMOMAスタッフ 安:

そうですよね。先生は看護学校の講師や産前産後のサポーター認定資格を作るなど、産後のサポート普及に向けて幅広く活動されていますよね。

豊田さん:

ですから産後の母子を社会全体でサポートできたらと思い、平成25年から子育て中のお母さんはもちろん、すでに活動中の助産師の方などを対象とした産前産後のサポーターの資格講座を開講しました。「ママをサポートしたい」、「相談にのってあげたい」という気持ちがあれば、地域で相談を受ける人は助産師や医療者でなくても良いのです。

現在有資格の卒業生は全国に150名を超え、学んだことを各々の地域に発信し、全国(海外も!)に産後サポートの輪が広がっています。AMOMAさんに惹かれたのも同じ気持ちだと思ったからです。本当に嬉しいことですよね。

ママが元気をもらえる場所になれるように

AMOMAスタッフ 安:

そんな中、先生に今回監修をしていただくことになった〝母乳なんでも相談室〟も、子育て経験のあるスタッフによるご相談窓口としてスタートしたところ、月に1000件ものご相談をいただき、悩みを抱えた方の多さに驚いています。

豊田さん:

頼る人がいないママにとって心強い、良い取り組みですよね。実際、心ゆるりにいらっしゃるママも母乳トラブルで思い詰めてしまう方は多いです。私としては、母乳育児は何よりも「ママがいちばん幸せと感じるもの」であってほしいと思っているんです。

確かに母乳は栄養学的にも免疫学的にも赤ちゃんの成長に素晴らしいものではありますが、敏感になりすぎて大きなストレスを抱えてまで続けなくてもいい。思い悩んでツラくなるくらいなら、いっそミルクに切り替えて体と心に余裕をもった状態でぎゅっと抱きしめてあげるほうが、幸せで良い育児が出来るんじゃないかなと考えています。

今回の母乳なんでも相談室での研修では、母乳のことや赤ちゃんのケアといった知識だけでなく、産前産後のママの心のケアにも重点をおいて産前産後を深く理解できるものにしました。

AMOMAスタッフ 安:

私たちは医療者ではなくあくまでも先輩ママ。だからこそ、正解というよりもママの心に深く寄り添ったご提案をしていけたらと考えています。

豊田さん:

「あそこに相談したら元気もらった」という場になったらいいですね。相談したママが「なんか私、頑張っているな」って自分をほめたくなったり、自分を「私ってすごいな」と思っていただけるサポートをぜひしていただきたいですね。ママが元気で笑顔でいると側にいるお子さまもきっと笑顔になると思います。だってママを見ていますから。相談室がそんな存在になれることを願っています。

産後は人生の要となる、大切な時期

AMOMAスタッフ 安:

いろんな角度から産後に関わる豊田晴子さん。先生は産後の時期をどのように考えていますか。

豊田さん:

女性にとって大変な時期ってここだと思いません(笑)?もう体も思うように動かない。気持ちも女性ホルモンの影響でズタズタ。その上、周りから全部「あなたはママでしょう?」って。なんか全部責任や役割をふられた感じじゃないですか。よく車の運転に例えるのですが、運転は自動車教習所でしっかり学び、仮免許のあと路上に出ます。でも育児って全く勉強をしないままいきなり路上に出るようなもの。余裕なんて持てなくて当然なんです。

ただ産後は「愛着形成」といって、母子の信頼関係のベースが出来る、とても大切な時期です。「可愛いな、愛おしいな」とじっくり子どもと向き合うことで関係性が築かれていきます。でも実際のところ、産後ってボロボロの体に、想定外のトラブルだらけ…さらには「ママなんだからしっかりしないと」というプレッシャーも重なって、そんな心の余裕を持てなくなるのが現実ですよね。だからまず、<産後は「体を楽にすること」を第一に考えてほしいです。


産後ケア施設を利用してもいいし、とにかくゆっくり体を休めないと心の余裕は生まれません。そうして余裕が出てきてはじめて子どもと向き合え、子どもはママを「自分にとって安心出来る人」と感じ「ママ=心の拠り所」という信頼関係が生まれます。このベースを作ることこそ、産後の母子にとって人生の要といえるほど大切なことなんです。

AMOMAスタッフ 安:

子どもとの信頼関係を生むためには、忙しい産後をどう過ごせたらいいでしょうか?

豊田さん:

「目の前の子どもとだけ向き合う時間を作る」ことを意識的にやってみてください。家事や育児、すべてを自分でやろうとせず、例えば宅配や家事代行のお掃除のサービスを利用する、また国の子育て支援策として数年中に全国各地に続々と産後ケア施設が出来る予定です。自治体が利用料の一部を負担することによって利用しやすくなっていますから、ぜひ利用してほしいですね。

とにかく振れるものは全部人に振ってみてください。もし利用できないときは、〝ぐうたらママの日〟があってもいいと思うんです。毎日お風呂に入れなくたっていい。ゴロゴロしながら授乳させたっていい。コンビニのお弁当を買ってきてもらったっていい。とにかく「あれもこれもしないと…」というプレッシャーを今日は全部、やめます!という日を作りましょう。そんなメリハリを作ることで時間に余裕ができ、気持ちが楽になります。家事よりもずっと大切で、今の自分にしかできないことは「子どもに愛を持ってじっくり向き合うこと」。それだけでもう、大丈夫なんですよ。

私のオフショット

  • 「今日 TODAY」

    「今日 TODAY」

    心ゆるりをご利用されたママに豊田先生がおすすめしている一冊。ニュージーランドを中心とする英語圏に語り継がれている詩で、小さな子どもを育てる世界中のママを勇気づけているそうです。この一冊を見てつい涙してしまうママも。ぜひあなたも手にとってみてください。

お話を終えて

相談したら、元気もらえたと思う存在になれるように相談したら、元気もらえたと思う存在になれるように

相談したら、元気もらえたと思う存在になれるように

「母乳なんでも相談室」の監修にしていただいている豊田先生にお話しをお伺いしました。にこにこゆったりしたお話しから垣間見られる、先生の行動力やパワフルさにはいつも驚かされます。AMOMAも先生に負けないように、「相談して良かった!」と思われる場所を作っていきたいと思っています。

安 真梨子

AMOMA STAFF安 真梨子

AMOMAにはホームページのリニューアルから参加。家では4歳の子供のママです。ちょっとお口が達者な娘に振り回されながらも充実した毎日を過ごしています。

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